「最近の電池事情から考察」

 昨年の暮から一般に4000mAhを超えるニッケル水素充電池が出回り、旧レギュレーションでレースをする際の状況が変わってきた。セルが保持する電圧も高く推移し、レース中の消費量で換算した平均放電も7.2Vをきることも無くなってきた。反面、新しい電池なくしてはストッククラスにリザルトを残すこともままならなくなってきているのも事実だ。

 すべてをレースのリザルトに優先するのであれば、新しい電池を高い電流で温度をある程度上げた状態(内部抵抗のある意味下がった状態)で使えば、すばらしいパフォーマンスを発揮するであろう。今の流行りである。
 資金的なもの、を無視すれば、新しいものをコンディショニングし、数度無理な使い方をして、練習用に落とす。もしくは廃棄。その新しいものも、ベースの触媒の質の高いものであればなおさらだ。ワールドチャンピオンを目指す立場なら、選択肢はないだろう。 しかし、一般の趣味性の強い、レースではどうだろう。イコールコンディションという名ばかりのレギュレーションが多すぎはしないか?ショップ経営を行っている私が言うのも矛盾する話ではあるが、底辺の広がらない趣味に将来的反映は残らない。そんな思いがこみ上げる。1400mAhの電池で4200mAhとトップタイムを同じにするのはよほどの実力差を伴わない限り、難しく思う。世界で活躍する日本のRCドライバー達が、成長の段階で、本当に湯水のごとく電池を使用していたのだろうか?
 あるものの中から、効率を考え、練習を積み重ねた結果ではないのだろうか?
 それを考えるとき、複雑な気持ちになる。
 できることなら、ビギナーや少年たちに考察や、練習するという、努力することでうまくなれることを伝えて行きたいし、今、日本が世界に誇れる技術の基礎は、その効率よく使うことに向いている「国の性質」から来る、性質的研究の成果に他ならない。

 見極めないで、すぐに答えにたどり着こうとするのが、昨今の風潮ではあるが、真実を見つめないで極みを目指すのはあまりに遠いし、消費という娯楽にしかならない。バブル期には多く見られたが、いまどきかなり稼げる立場にでもならない限り、なかなか実現は難しいだろう。

 話を電池に戻し、今思うところは、これだけ移り変わる電池に充電器がどうあるべきか。それこそACアダプターからハイエンドなものまでを一緒にとは乱暴になるので、単セルから複数のセルまでの制御が可能な充電器の話をしよう。(最低でも昇降圧回路が組まれている充電器)のレベルでの話だ。
 基本的にどの充電器も電圧のピークを見つけ、それからいくらか下がった電圧(もちろん設定したもの)を検知し充電を終える。面白いのが、時間的に小さい単位で電圧を制御しようとすると、暴れる電圧に左右されやすいので、大雑把にサンプリングしないとピークをすぐに検地してしまう。反面、大雑把にしすぎると緩やかなピーク特性の電池は見逃してしまい、温度で落とさざるを得ない。単セルのピークを検出するには精度が要る。それさえできないのはさらに大雑把な可能性が高いと考えても良い。もちろん、コストパフォーマンスということで、温度でカットする手法もあるが、スタート温度がベストな状態という条件なしで使用すると、過充電する率が高いし、再現性が低い。コンディションデータを取り続けていればパンチ力が急激に衰える状況を事前に把握できるだろうが、それなしでは、新しいセルに頼るしかなくなる。その手の充電方法はセル温度を必要以上に上げてしまう。結果、初期ビンビンではあるが後半の電圧低下が大きい。したがって、容量の低下そのものが大きく影響してしまうのである。
 できることなら、「省資源」「高効率」とまで、たいそうなことは言わないが、趣味の域なら、いろんな素材や要素がからむラジコンはその込み入ったバランス関係を理解する楽しみで趣味につなげて欲しい。競うこと、考えること、体験すること、使う道具も考察してみること。楽しみ方は広い。賭け事なら勝つことだけだが、趣味なら、捉え方に幅が出る。自分なりのスペシャルチョイスを考えてみてはどうだろう?充電器など、特に高いものだから、自分の使用状況にあったもののチョイスでかまわないが、使い切ることで、良くも悪くも本質が解る。それを踏まえた上で好みの主張で良いではないのだろうか? 個人的に自動車も好きで50台以上乗り換えてきたが、好きな車は10年の付き合いは当たり前、20年近くのものも多く、結果、限られた人生の中ではお気に入りは数台ということになるが、今でも毎月一台は新車試乗を続けられる環境にある私は、道具としての客観的捉え方と、作り手から送られる、作り込みという、こだわりのメッセージを楽しんでいる。  趣味で原稿を書いている以上、個人的主観のみなのだが、趣味を深めると、いろいろ見えてきて面白いのではないのでしょうか?買う前だけが楽しみの趣味になっていませんか?ゆっくり人生を味わいましょう。